遠き山に日は落ちて 第18話 たこ焼

2009年6月、週末の昼から三角公園に行った。

難波から地下鉄御堂筋線に乗り、動物園前で降りた。

本田神父がいる「ふるさとの家」の前を通って、三角公園に着いた。50円という自動販売機の安さに驚く。

途中の立飲み屋には、昼間から人がたくさん入っていた。

いざ公園に着いてみると、周りの雰囲気に圧倒されて立尽す。

視線を気にしながら旅行用のカートを引きずり一周りし、一番奥の藤棚近くで座り込んだ。

ここで風を使ってドローイングを作ろうと思ったのだが、どうしていいか分からずタバコに火をつけた。何故ここで作るのか、考え込んでしまう。

野垂れ死にはかまわないが、ここでの生活には抵抗がある。

気をとりなおして、最初に目に付いた一番奥にある植え込みへ行ってみた。

植え込みの前は、ゴミ捨て場となっている。

ドローイングの為の目ぼしい枝を見つけると、再びカートをガラガラいわせて萩ノ茶屋駅まで行った。

商店街の中で発泡酒を買う。

再び植え込みまで戻り、缶ビールを飲みはじめると、少し気分が落ち着いてきた。

柵の後ろから話し声が聞こえる。

掃除の仕事にありつき、待ちどおしくて集合時間の2時間前からうろうろしているらしい。

彼の腕時計は止まったままだ。

もう一人は柵に腰掛け、うな垂れたままだった。

柊の葉の先端に綿を取付け、お気に入りのピーコックブルーのモンブランインクを染み込ませた。

その下に紙をセットして、ぼんやりしていると。

「なにしてんのん」と柵の後ろから声がかかる。嬉しかった。

「絵を描いてる」

「風で描いてんのか」

何の不思議も無くそう言ってのけ、また座り込んで俯いたままになった。

2時間ほどドローイングを作った。

ゴミ捨て場の籠をあさりに、入れ替わり立ち代り人が来た。

荷物を片付けると帰りは、今池駅を抜け堺筋通りに出る。

向かいの景色が一変した。

出口の角にある、たこ焼屋の「山ちゃん」で、たこ焼を200円で買うと「にいちゃん二つ余計にいれといたで」。

このあたりでカートを引きずっていると、新入りと思われるらしい。人情が身にしみる。

ガード横の自動販売機の前でしゃがみこんで食べた後、堺筋線の動物園前から地下鉄に乗った。

4日後の午前中に再び三角公園を訪れて作品を思案していると、植え込みの一番奥にあるベンチから声がかかった。

「にいちゃん、この前もきてたな」

ウエダリクオファン

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