ウエダリクオさんは風をテーマにしているアーティストです。
風で作品を作るという他に、風を集めるというのも作品だそうで、いろんなところに行っては風を採取して缶に詰めておられます。缶に詰めてもらうのは、自分でするんじゃなくて、現地の人にお願いされます。
政治情勢が不安な海外の国だと、怪しい人だということで、ぴったり尾行されたりすることもあるそうな。
戦争していても国境をまたいで吹く風に、違いはない、という平和のメッセージも込めているということなんです。風の採取には、国境を守る軍隊の人にも協力してもらったり。
(Wind / Steen Rasmussen &Rikuo Ueda)
しかし、そういう平和のメッセージは、世界のどこに行っても伝わるものと思っていたら、そうじゃなかったという話を聞きました。
パレスチナで現地の人にお願いしたら、
「パレスチナに、イスラエルの風は吹いていない!」ときっぱり否定されたというのです。
憎しみの深さを思い知ったということでした。
(追記)
最初、この記事はパレスチナとイスラエルの国境というふうに書いていたんですけど、パレスティナは、イスラエルの自治区ということになっているとウエダさんから指摘を受けました。
調べてみると、日本ではパレスチナ暫定自治政府というようです。
ウィキペディアによると、国際連合加盟国(193ヶ国)中、2014年10月30日にスウェーデンがパレスティナを国家だと承認し、計135ヶ国が国家承認しています。しかし、日本やアメリカは承認していません。